安倍首相「加計学園が申請していることは今年1月20日の決定まで知らなかった」 議場からはヤジ

    7月24日、衆院予算委員会で答弁した。

    安倍晋三首相は7月24日の衆院予算委員会で、加計学園が国家戦略特区として、獣医学部の新設を申請しているという事実を「2017年1月20日まで知らなかった」と答弁した。また、加計理事長との食事代について「先方が持つ場合もあります」と認めた。民進党の大串博志議員の質問に答えた。

    安倍首相は2016年に7回、加計孝太郎理事長と食事やゴルフをしていた。加計学園の事態が大きく動いたとされる時期は2016年8〜9月にかけてだが、食事は7月以降で6回にも及んでいる。

    大串議員は、そうした事実を指摘したうえで、「改めておたずねしますけど」と切り出した。

    大串議員「これらの話の中で、一度も加計理事長との間で、獣医学部新設を願い出ていることが話題にも上らなかったのでしょうか?」

    安倍首相は次のように回答した。

    安倍首相「さきほどご答弁いたしましたように、政治家になるずっと前からの友人関係であります。しかし、彼が私の地位や立場を利用して何かを成し遂げようとしたことは一度もなかったわけであります」

    安倍首相「そこで、彼はチャレンジ精神を持った人物であり、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨の話はきいたことがございますが、しかし、彼もこれまで様々な学部学科を創ってきたわけでございますが、そういうことも含めて具体的にいま何かを創ろうとしている。今回であれば獣医学部を創りたい、さらには今治市にといった話は一切ございませんでした」

    議場からは「えー」とヤジが飛んだ。

    大串議員は質問を続ける。

    大串議員「加計理事長は、一度も獣医学部を申請しているということを安倍総理に言わなかったといわれました。加計理事長は、構造改革特区にも10数回、ずっと獣医学部新設の申請をされています。国家戦略特区にも申請されています」

    大串議員「加計理事長が獣医学部新設について、特区において申請をされていると、総理が知られたのはいつですか?」

    安倍首相は、過去に構造改革特区での申請があったことについては「説明を受けていない」と話し、次のように続けた。

    安倍首相「ですから、加計学園の申請が正式に認められた国家戦略特区諮問会議において、私が知るところに至ったわけでございます」

    1月20日まで知らなかった?

    大串議員「正確にお答えください。いつですか?」

    安倍首相「これはですね、1月20日に、加計学園の申請が正式に決定したわけでございます」

    大串議員「もう一度おたずねします。加計学園が申請しているということを、今年の1月に、認められたときに初めて知ったというわけですか?」

    安倍首相「先ほど申し上げましたように、私は知りうる立場にはあったわけでございますが、しかし、そのことについての具体的な説明は、私にはなかったわけでございまして、知った時期については今申し上げたとおりであります」

    大串議員「総理、本当に加計理事長が獣医学部の新設を申請をしていたということを知ったのが一月の末だとおっしゃるんですか。私はにわかには信じられないんですよ」

    大串議員「といいますのは、去年の秋以降、国家戦略特区諮問会議、23回・24回・25回、これ総理が出席している会議ですよ。その間にワーキンググループも開かれている。そこで、各関係人からヒアリングをしているんですね。そのうえで、総理も出た諮問会議で議論されているんです」

    大串議員「にわかに信じがたい。もう一度お答えください。いつ、いつ、いつですね、総理は加計学園の理事長が申請しているかということを、総理の頭の中で認知されたんですか」

    安倍首相「さきほど答弁をさせていただいたところでございますが、今回の申請は今治市ということでの議論になって、国家戦略特区はその議論でございまして、事業者はその段階で決まっていないわけでございます。その観点から先ほど申し上げましたとおりでございます」

    大串議員「申請を知ったのはいつですか? 答えてください」

    ここで、山本幸三地方創生担当大臣が答弁にたちあがった。大串議員は叫んだ。

    大串議員「ちょっと待ってください。ちょっと待ってください。関係ない。総理の頭の中で、総理の頭の中で、いつ知ったかですから関係ないですよ!」

    山本大臣が大串議員の発言にかまわず、淡々と申請の経緯を説明した。

    大串議員は、委員長から指名され、質問を再開した。

    大串議員「総理が、いつ加計さんが獣医学部を申請していると知ったか、総理の頭の中を聞いているわけですから、ぜひ総理、きちんと答えてください」

    安倍首相「それはですね、いつ申請したのかというお伺いだと思って、いま、山本担当大臣からお答えをさせていただいたわけでございますが、このいわば申請を知ったということにつきましては、先ほど申し上げましたように、1月20日の特区諮問会議でございます

    大串議員「総理、極めていまのは、私は、真実じゃない答弁をされていると、私は思いますよ。昨年の9月から秋にかけての国家戦略特区諮問会議、総理が議長ですよ? その場にいらっしゃるわけです。その場でいろんな議論が行われているわけです。例えば9月16日金曜日は、事務方から国家戦略特区を進めていくと、獣医学部の建設を進めていくという中で、総理からも提案課題について検討を深めようというお話しがあると、書いているんですよ」

    大串議員「それまでに2つの申請自治体があることはみんな知っているんです。総理だけが知らないなんてあり得ないですよ」

    安倍首相「この、国家戦略特区諮問会議においては、まさにこの国家戦略特区制度については、自治体がこれを申請するわけであります。私がいつもそこで指示するのは全体において。個々の自治体の申請ではなくて、個別の件ではなくて、全体において指示を常にするわけでございまして。そこが国家戦略特区諮問会議およびワーキンググループの一つの特徴でございまして、国家戦略特区諮問会議においては民間委員が入ってオープンな議論を行っていく、そしてワーキンググループは民間の専門家によって構成されているわけでございまして、そこの中身について私に報告がなされることはないわけでございます」

    安倍首相「私のところにかかってくるのは、国家戦略特区諮問会議において、かかることについてのみ説明があるわけでございます」

    大串議員「当時の国家戦略特区諮問会議においても、総理からしっかりやるべきという話があったり、9月9日には有識者メンバーから、残された課題として獣医学部の新設などと、明らかに明確になっているんですよ。当時獣医学部を申請しているのは2主体しかないわけですよ。それを全く総理が知らずにことを進めていたというのは、考えづらいんです」

    大串議員「なぜこれを疑っているかというと、去年の7月以降、極端に加計理事長とのコンタクトが増えているんですよ」

    大串議員「7月21日、山梨県の焼き肉屋。7月22日がゴルフ場ですね。8月10日が河口湖の居酒屋ですね。8月11日は山中湖のゴルフ場ですね。10月2日は渋谷の焼き肉屋ですね。で、12月24日はまさに『わるだくみ』とフェイスブックに乗っていた写真ですね」

    大串議員「まさに去年の秋に加計学園問題が認定に向けて動いている時に、総理がこれだけ会食をされているがゆえに、やはりなにがしかのことがあっただろうと、みんなが思っているわけです」

    大串議員「そこで、1月20日まで全く知りませんでしたという答弁はあり得ないですよ。あり得ない」

    食事代は?

    大串議員「まさか総理、これらの食事、あるいはゴルフの料金は、総理がちゃんともってらっしゃるんでしょうね。お答えください」

    安倍首相は「私のプレイ代は私がすべて払っております」と答えた。食事代についての返答はない。

    大串議員が「食事代もそうですね?」と続ける。

    安倍首相「まあ、食事代についてはですね。私がごちそうすることもありますし、先方が持つ場合もあります。しかしそれは、私が持つ場合も当然あるわけでございます」

    大串議員「加計理事長から払われたということもあるわけですね?」

    安倍首相「いま、にわかにはお答えできませんが、だいたい、友人関係でありますから、割り勘で行っているときもありますし、私がごちそうすることも多々あるわけでございます」

    大串議員「キチンとお答えください。加計理事長から供応されたことも、お金をだされたこともあるんですね?」

    安倍首相「そこで、何か頼まれてごちそうされたということは一切ないわけであります。気の置けない友人関係ですから、こちらがごちそうすることもあるし、先方がごちそうすることもあるというのは、今申し上げたとおりであります」

    大串議員「いま、支払いを受けたこともあるという発言がありましたが、国家公務員は権力関係にある方と食事をしてはいけないことになっているんですよ。国家公務員倫理規定というのがありまして、飯食ってもいけないんです」

    国家公務員倫理規定には次のようにある。

    (禁止行為)

    第三条  職員は、次に掲げる行為を行ってはならない。

    六  利害関係者から供応接待を受けること。

    七  利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること。

    総理は「職員」には含まれない。

    大串議員「総理は国家戦略特区諮問会議の議長さんです。まさに特区として認めるかどうかの決定権限者なんですよ。そういう方々が、まさに申請をしている方々と一緒に食事をし、かつですね、公務員だったら食事をしてもゴルフをしてもいけないんです。それを、食事はするわゴルフはするわ、しかも多数回。しかも、その案件がまさに動いている時にそういうことをし、かつお金も支払ってもらっていたとなると、これ大問題ですよ」

    大串議員は「だから、さきほど1月20日まで知らなかったとおっしゃっているんではないかと私は思っているわけです。これは極めて大きなことなので、私はぜひ、この真相も解明させていただきたいと思います」と述べた。

    そして、加計理事長が昨年秋の決定前にボーリング調査などを開始していることを指摘したうえで、「どうしてボーリング調査も含めて、認定が下りるかどうかもわからないのに始められたのか。ここを説明してもらうことは、国民のみなさんが思っている疑惑の根を晴らすのに、一番大切なこと」と述べ、加計理事長の証人喚問を委員長に求めた。