「よりオープンで、より政策本位の国会を」 小泉議員ら自民若手が改革案

    疑惑にはきちんと結論を出しつつ、政策やビジョンも議論するには。

    モリカケ疑惑ばかりで政策議論は不十分。国会は生産性が低すぎるーー。問題意識を持った自民党の若手議員で作る「2020年以降の経済社会構想会議」が、国会改革案をまとめた。

    BuzzFeedは会議の中心である小泉進次郎・筆頭副幹事長らに狙いを聞いた。

    疑惑は疑惑のまま、政策議論は滞る現状の国会

    国会改革案の柱の一つが、一車線しかない議論の場を三車線に分けることだ。

    森友・加計のような疑惑が生じると、党首討論も委員会も議論がそれ一色に染まり、審議拒否も相次ぐ。モリカケがそうであるように、疑惑について結論が出るわけでもなく、政策議論は滞る。

    国会における議論を3つに分割する

    疑惑は疑惑でしっかりと議論をし、国会としてなんらかの結論を出す。同時に深遠な国家ビジョンや重要な政策もちゃんと議論する。改革案では、以下のように3つに整理している。

    • 国会ビジョン・信条→党首討論
    • 法案・政策→委員会
    • スキャンダル→特別調査会

    「首相主導の長所を生かしながら問題点を修正」

    平成の政治改革は「官僚主導」の政策決定を「首相主導」へ転換させた。強力なリーダーシップで政治の推進力を高めることを目指したが、その弊害として「安倍一強」による強引な運営が目立つとの批判が出てきた。

    改革案は「首相主導の長所を生かしながら問題点を修正」することを狙う。キーワードは「よりオープンに、より政策本位で」だ。

    疑惑が生じれば、特別調査会を設置して事実を究明し、調査報告書をまとめる。また、党首討論や大臣討論で内閣の説明責任を強める。

    同時に、予算や法案を審議する委員会は疑惑の追及の場ではなく、政策本位の議論を徹底する。

    首相や大臣の国会出席の合理化を

    改革案は党首や大臣の討論で内閣の説明責任を強化する代わりに、首相や大臣の国会出席の合理化も求めている。

    現状では日本は先進国の中でダントツに首相の議会出席日数が多く、外交や内政に注力する時間が限られるからだ。

    計画的な審議日程でより深く、効果的に

    現在の国会は審議の日程が事前に明確にされていない。野党は与党から譲歩を引き出すために、日程を決めるところから駆け引きが始まる。

    その結果、肝心の質疑の準備ができず、議員は付け焼き刃の質問をし、その質問の答弁を作るために官僚は前日に深夜まで働く。改革案では計画的な審議日程を作り、事前に議員が十分に準備し、議論を深めることも求めている。

    2020年以降の経済社会構想会議には元官僚も多い。その一人、鈴木憲和議員は「計画的な審議日程が質疑の充実と共に、課題となっている官僚の働き方改革にも繋がる」と話す。

    自民党における若手からの改革

    2020年以降の経済社会構想会議には、母体がある。名前が似ているが「2020年以降の経済財政構想小委員会」だ。こちらも小泉議員が中心となった。

    2015年に高齢者に一人3万円の臨時給付金を配る案が参院選対策として急浮上したことに反発した若手の小林史明議員に小泉議員らが同調。経済や財政の将来像を議論するこの小委員会が生まれた。

    若手20人で東京五輪後となる2020年以降の日本の将来像を議論し、「こども保険」の提言などに結びついた。構想会議はさらにテーマも参加人数も大きくなっている。

    参加する牧島かれん議員は「自由に発言できる雰囲気がある」。小泉議員は「議論を通じて、政治家以前に人生にとって何が大切なことか見えてくる」と話す。

    「野党からも声は上がっている」

    国会改革案は6月27日に自民党の二階俊博幹事長に提出される。実現に向けては与野党の協力が不可欠だ。小泉議員は「改革の機運は高まっている」と話す。

    「今の国会への不信感はかつてないほど大きい。その中で今まで以上に危機感が共有できている。野党からも声は上がっている」

    そして、国会改革の重要性について、こう強調した。

    「野菜作りに土作りが重要なように、国会という土壌が整えられないと良い政策は生まれないし、世界の急速な変化には対応できない。世界の中での日本の利益を守れる環境に変えていきたい」