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「9価ワクチン承認後は速やかに定期接種に」 自民党のHPV議連が訴える

自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」が開かれ、9価ワクチン承認後の速やかな定期接種化や、啓発用リーフレットを誤解を招かない表現にすることなどを厚労省に求めました。

子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防するHPVワクチン。

日本では毎年約1万1000人が新たに発症し、3000人が死亡しているが、公費で受けられる定期接種となっているにも関わらず、積極的に勧めるのが差し控えられて約7年となる。この間、接種率は1%未満に落ち込んでいる。

自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(細田博之会長)の役員会が5月20日に開かれ、9種類のHPVへの感染を防ぐ「9価ワクチン」承認後の速やかな定期接種化などを求めることで合意した。

終了後、呼びかけ人で子宮頸がんの経験がある参議院議員三原じゅん子氏は、「新型コロナウイルス対策で大変なこういう時だからこそ、みなさんにワクチンの重要性というものを改めて考えていただける機会にしていただきたい」と、ワクチンで病気を予防できることの大事さを訴えた。

リーフレット「誤解を招かない表現に」

この日の役員会では、日本医師会や日本小児科学会、日本産科婦人科学会など関連団体を招き、厚労省の広報リーフレットの改訂や9価ワクチンの審議状況や今後の取り扱いについて話し合われた。

三原氏は、このワクチンについての国民の理解が進んでいないことを指摘し、「今(積極的勧奨を)再開しても、ほんの数%ぐらいの人もうってくれないんじゃないかなと思っております。もっと正しいことを伝えること、マスコミの力、社会の流れがどうしても必要と痛感している」と訴えた。

その理解のために使われるリーフレットについては現在、厚労省で改訂作業が行われているが、三原氏は、「間違いや誤解を招く表現がある」と批判した。

そして、7年間でわかってきたことを更新した上で、誤解を招く表現を修正し、厚労省のウェブサイトに掲載されている現状のリーフレットを削除するよう求めたという。

具体的には、「HPVワクチンは、積極的におすすめすることを一時的にやめています」という文言は、接種を検討している人を止めさせていると批判した。

「一生懸命、お医者さんが説明して8割り方わかった、となって、次に来るともう(うつ気持ちが)変わっている。当然です。帰ってこのリーフレットを見たら、『勧めません』と書いているのですものね」

さらに、「子宮頸がんそのものを予防する効果は、現段階ではまだ証明されていません」という表現が、一般の人には「がんに効かないならうっても仕方ない」と誤解を与えていることを指摘した。

医師でもある三ツ林事務局長は、「前がん病変に対してはワクチンの効果は証明されている。そういうエビデンスがしっかりある」として、こう述べた。

「一般の方がこれを読んでうつはずはない。学者の方を相手にするのと、一般の人を相手にするのは違う。前がん病変に効果があるなら、がんに効果があると言い切っていい。リーフレットは誤解を招きやすい」

9価ワクチン、承認されたらすぐに定期接種に

日本では現在、特にがんに進行しやすい16、18型という2種類のHPVを防ぐ2価ワクチンと、それに加え、良性のイボである「尖形コンジローマ」の原因になる6、11型も防ぐ4価ワクチンしか承認されていない。

現在、9種類のHPVを防ぐ9価ワクチンが承認のための審議中だが、これが承認されたら、速やかに定期接種として公費でうてるようにすることも求めたという。

三原氏は9価ワクチンが90%以上の子宮頸がんを防ぐ効果があると説明した上で、こう話した。

「この9価ワクチンは、(承認申請後)5年間も放置されている。HPVワクチンの安全性の検証も済んでいる。議連として、9価が定期接種化し、みなさんが進んで接種してもらえるようになるまで責任を持って行っていきたいと思う」

また、7年間で接種する機会を逃してしまった女子もうてるようにする「キャッチアップ接種」の実現を求めた。

HPVワクチンについては、4価ワクチンを製造販売しているMSDが男子の接種拡大も申請中だが、男子接種への拡大を求める議連で、中咽頭がんなどHPVが関連して男性もかかる他のがんの患者数などの報告も厚労省に依頼したという。