タトゥー彫り師の無罪確定へ 医師法裁判、最高裁が検察側の上告棄却

    医師免許なく客にタトゥーを入れたとして医師法違反の罪に問われた、彫り師の増田太輝被告の逆転無罪判決が確定する。

    医師免許なく客にタトゥーを入れたとして、医師法違反の罪に問われた大阪府の彫り師、増田太輝被告(32)の上告審で、最高裁は9月17日までに検察側の上告を棄却した。大阪高裁の逆転無罪判決が確定する。

    「タトゥーは芸術」訴え

    増田被告は2015年、客3人に無免許でタトゥーを入れたとして略式起訴された。

    医師法17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定めており、違反すれば3年以下の懲役か100万円以下の罰金、もしくはその両方が科される。

    増田被告は「タトゥーは芸術」と医師法による摘発に異議を唱え、簡易裁判所からの罰金30万円の略式命令を拒否。

    正式裁判で無罪を訴える異例の法廷闘争を展開するも、2017年9月に一審の大阪地裁(長瀬敬昭裁判長)で罰金15万円の有罪判決を受けた。

    地裁判決は「タトゥー施術=医行為」

    地裁判決は医行為を「医師でなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」と定義し、タトゥー施術が「医行為」にあたるとした。

    弁護側は大阪高裁の控訴審で、医師法制定当時の国会答弁や学説では医行為が「疾病の診断・治療・投薬」など、医療と関連するものとして捉えられてきたと反論。

    一審判決の定義だけでは、理容師の顔そりやネイルアート、まつげエクステなども「保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」に該当してしまうとして、「医療行為」の要件として「医療関連性」が必要だと訴えた。

    一方の検察側は一審判決の定義づけを改めて支持。「何が疾病で何が治療かは医学が日進月歩なので固定的に観念をなし得ない」という医師法制定時の政府答弁を根拠に、医療関連性の必要性を否定した。

    大阪高検は高裁の無罪判決を不服として、最高裁に上告していた。