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「CDCがワクチンよりも自然免疫の方が効果があると認めた」は誤り。コロナ感染めぐり拡散、実際は「迷信」と指摘

CDCは公式サイト上で、今回拡散していたような「COVID-19に感染して得られる自然免疫は、COVID-19のワクチン接種で得られる免疫よりも優れています」とする言説を「myth(迷信、誤った通説)」とし、ワクチン接種を推奨している。

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が「ワクチンよりも自然免疫の方が効果があることを認めた」として、ワクチン接種を否定するような情報がSNSで拡散している。

これは誤りだ。CDCはそのような発表をしていない。この場合「自然免疫」はコロナに感染することで得る免疫を指しているとみられるが、CDCは感染にはさまざまなリスクがあるとして、ワクチン接種を推奨している。

拡散しているのは、英文記事のスクリーンショット付きの以下のようなツイート。4000リツイート、1万いいねを集めるなど拡散している。

「CDCがワクチンよりも自然免疫の方が効果があることを認めました。ワクチン懐疑派がずっと主張していた事が正しかったのです。CDCの初期ガイドラインを信じてワクチンを接種した人達は今どんな気持ちですか?」

しかし、これは誤りだ。CDCはそのような情報を一切発信しておらず、現段階でもワクチン接種を強く推奨している。

むしろ、公式サイト上では今回拡散していたような「COVID-19に感染して得られる“自然免疫”は、COVID-19のワクチン接種で得られる免疫よりも優れています」とする言説を「myth(迷信、誤った通説)」とし、こう記している。

「事実:ワクチン接種を受けることは、感染するよりも、COVID-19に対する免疫をつくるためのより安全で信頼できる方法です」

CDCはこの記事で、感染には重症化や死亡、後遺症、感染拡大など、さまざまなリスクがあると指摘。一方でワクチン接種はより安全であるとし、すでに感染した人も含め接種の必要性を以下のように強調している。

「予防接種を受けることは、COVID-19に感染するよりも、より安全に防御力を高めることができる方法です。病気にかかることなく抗体反応を作り出すことであなたを守り、あなたが接種することで、周囲の人、特に重症化のリスクが高い人を守ることもできます」

「COVID-19に感染すると、重症化または死亡する可能性がありますが、誰が軽症になるか、重症になるかを確実に予測することはできません。また、感染すればCOVID-19を他の人に広めることになり、感染後も長期間の健康問題が続く可能性があります」

情報のソースや発信元は?

そもそも、今回のツイートに添付されている画像はCDCの公式のものではなく、「Natural News」というニュースサイトの記事。

北マケドニアやフィリピンのコンテンツ制作業者が作成した反科学的な医療情報や代替療法、反ワクチンに関する陰謀論や虚偽情報を多く発信しているとして、Facebookがコンテンツのシェアを禁止しているサイトでもある。

今回スクリーンショットが拡散した記事は「アメリカ社会を破壊したあと、CDCは自然免疫(*この場合は感染後の免疫)がCOVIDジャブ(*ワクチン接種のスラング)より有効であると認めました」というタイトルのもの。

「Natural News.com」がソースとしている別の複数の反ワクチンサイトの情報を総合すると、この情報は根拠はCDCが8月にガイドラインを簡素化し、更新したことにあるようだ。濃厚接触者の隔離を不要とし、代わりに10日間は高性能のマスクをすることや、5日目に検査することなどを求めたものだ。

この際、対象となる回数のワクチン接種を受けていない場合でも、接種者と同じ扱いをするようにもしている。この点が、CDCが「ワクチンよりも感染による免疫のほうが有効」と判断したように拡大解釈されているとみられる。

前述の通り、そうした発表はない。また、CDCは同じガイドラインで「最新のワクチン接種を受けること」が重要であると強調。時間が経つと効果が軽減することから、追加接種も必要であると呼びかけている。

今回発信元となったアカウントはフォロワー約4万3千人。今年2月ごろからツイートを始めており、反ワクチンサイトなどをソースにした情報発信を続けている。「ジャスティン・ビーバーの顔面麻痺はワクチン接種が原因」「コロナワクチンがAIDSを引き起こす」などのような誤情報も少なくない。

アイコンは女性の顔写真だが、AIによる実在しない人物画像ジェネレーター「GENERATED PHOTOS」で生成されているものであることが、BuzzFeed Newsの調べで確認できた。拡散には注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

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  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。